メディアアートの教科書

メディアアートの教科書

メディアアートの教科書

 書名そのままメディアアートの教科書。メディアアートの歴史とメディアアートの形態を紹介する前半、各アーティストについて解説する中盤、メディアアーティストによる実際のメディアアートの作り方講座の後半と年表、用語集という構成。
 そもそもメディアアートという括り自体一般的ではないという前置きのもと、メディアアートを定義してその歴史を書いている。この本によると、メディアアートは歴史的にはヴィデオアートとコンピューターアートが融合して出来た物で、特徴としてコンピューターを使ったインタラクティビティがあるとしている。

内的な構造

 インタラクティビティがあることにより、メディアアートは観客に「作品の外見からは見えない"内的な構造"が分かる/を感じさせられる」つまり、メディアアートの作品の多くは入力に対して一定の出力がかえってくるのだが、この入力と出力の関係、コンピューターで言えばアルゴリズムの部分を観客に感じさせる事ができ、それがメディアアートの特徴である、と。
 同時に作品を体験する事で作品が完成するという面があるので、音楽の生演奏に近いパフォーマンス的側面もある

感想

 僕はメディアアートの作品を作ったりしていたので、少し前にメディアアートってなんだろう?ていう袋小路に入り込んでいて、さらに言えばメディアアートてそもそも存在が詐欺じゃないのとも思ってた。だけど、このインタラクティビティの解釈を聞いてかなりメディアアートそのものに納得すると言うと変だけど納得した。
 しっかりまとまっていて、メディアアートそのものに興味がある人は読むべき本。ただ、これはどうしようもないことなんだけど、作品を実際に体験出来ないのが痛い。インタラクティビティが特徴なメディアアートだけに、ここは本当にどうしょうもないんだけど残念。ICCが回顧展をやるのを待つしかありませんね。